牛馬チャンと仲間たちぎゅうばチャンとなかまたち
日常編にちじょうへん #03

上野公園の野球練習うえのこうえんのやきゅうれんしゅう

2026-07-12

久しぶりひさしぶりの週末、牛馬ぎゅうばチャンは黒猫くろねこチャンを上野公園に誘った。

日差しが強い。蝉が必死ひっしに鳴いているのが聞こえるほどに。

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約束の時間にはまだ早く、牛馬チャンは木陰で待ちながら、何気なく球場きゅうじょうの方に目をやった——その一目が、離せなくなった。

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球場には観客もいなければ、中継ちゅうけいカメラもない。ただ数人のユニフォーム姿の若者たちが、雲一つないくもひとつない正午の日差しの下で、何度も何度もバットを振り、ボールを受け、塁間を走っている。

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汗でユニフォームは元の色が分からないほどに染まり、真っ赤な顔をしながらも、打席にしっかりと立ち、投手を見つめる目は一度も瞬きまたたきをしない。

牛馬チャンはふと思う:世界はこんなに速く変わっていて、AIは小説も絵も、経理さえもこなせるようになった。この子たちが練習している、バットの角度、ボールを受ける感覚、走塁の歩幅ほはば——本当にまだ意味があるのだろうか?

でも彼らには、そんなことを考えている暇はなさそうだ。

打球の乾いた音は、その前の千回、万回と、何も変わらないように聞こえる。

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黒猫チャンはいつの間にか隣に立っていた。首にはカメラを掛けているのに、それを構えようとはしない。彼もまた、球場をじっと見つめていた。

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牛馬チャンは尋ねた:「ねえ、あの子たちがあんなに練習して、意味があると思う?」

黒猫チャンはしばらく球場を眺めてから、ゆっくりと口を開いた:「今日、強くなれるかどうかと、世界が変わるかどうかって、たぶん別の話なんだよね」

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牛馬チャンは何も言わず、瞳がそっとかがやき、小さくうなずいた。

球場からはまた、バットを振る鈍い音が響き、続いて若者たちが互いに掛け合う、聞き取れないききとれないけれど力強い声援せいえんが聞こえてきた。

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今日も一日がんばるぞい。

勝てると分かっているからじゃない。

ただ、この場所に立っているときは、「今のこの一球」だけが、全力を尽くす価値があるからだ。

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