作品について
このシリーズの出発点は、身の回りにいる一人ひとりの実在の人物だ。リストラされたばかりなのに、次の面接の準備を続けていた元同僚。異国の地で、仕事と生活を黙って背負い続けている友人。疲れているのに、それでも今日という一日を大切に生きようとする、ごく普通の人たち。牛馬チャンとその仲間たちは、そうした本物の疲れと踏ん張りから、少しずつ生まれてきた。
物語の舞台は、現実とほとんど重なり合う東京だ。満員の通勤電車、深夜まで灯りが消えないオフィスビル、週末にようやく一息つける公園や居酒屋。ここには、擬人化されたQバージョンの動物たちが暮らしている。まるで人間社会の隙間に、こっそり紛れ込んで生きている会社員のように——同じように満員電車に乗り、同じように住宅ローンを返し、既読スルーのメール一通で一日中気持ちが沈んだりする。彼らは特別な力を持つヒーローではなく、私たちと同じように、真面目に生きている普通の存在だ。
絵柄については、大きく笑わせにいくのではなく、そっと寄り添うような存在でありたいと思っている。柔らかい輪郭、抑えた色使い、そして余白。感情は大げさな表情で押し出すのではなく、ひとつの眼差しや、呼吸のような間の中にそっと隠されている。あえて率直に言うなら——これは「疲れているけれど、まだ諦めていない」人たちに向けた、静かなラブレターだ。